「つき指だってバカにできない!」

  手を使わないスポーツはほとんどなく、外傷を受ける危険が大きいものです。手指のケガは、たかが指のケガだと言って、いいかげんな治療で思わぬ障害を残すことも少なくありません。症状を正しく判断し適切な初期治療を行うことが必要です。まずチェックポイントを述べます。
@目につく変形はないか 
左右を比べてみて、変形や"はれ"がないか確認する。"は れ"があれば、骨折や靱帯損傷の可能性が高く、X線写真を撮らなければなりません。
A手指の動きはどうか 
運動の状態を見るために、手や指を動かしてみます。まず拳を握らせ、次に指を伸ばし、できない指があれば、さらに個別に詳しく調べます。
B痛みの部位を確認する。   
痛みが関節部にあれば、関節内の骨折や、靱帯損傷を疑う。骨折があれば、指をのばした状態で、指先から押してやると痛みが増加してきます。
1.第1指関節(一番先端の関節)について
1)マレット指(槌指)     
指先に急激な外力が加わると指を伸ばす働きが障害され、指が曲がったまま伸びなくなります。 
              
治療はX線写真で骨のずれが少なければ、シーネ固定、大きければ鋼線で固定します。


2)第1指関節脱臼 
ボールや空手などで、第一関節が、急激にそってしまった場合起こります。末節骨を末梢に引っ張ることで比較的簡単に整復されますが、靱帯損傷があり、示指や中指などのよく使う指で、ぐらつきがあるときは手術が必要になることがあります。
2.第2指関節(2番目の関節) について
1)関節靱帯損傷 
突き指に次いで多い指のけがです。多くは、捻挫程度でクーリング・湿布などで十分ですが、靱帯断裂や、脱臼であっても自分自身やコーチが不十分なテーピングを行い、いつまでも腫脹や疼痛が続き、数週間たってから医療機関に来ることも多く難治となることもあります。"はれ"や"ぐらつき"があれば、必ずX線写真、関節のぐらつきのテストを行うよう指示してください。

3.母指第2関節(親指の付け根の関節)靱帯損傷 
特に尺側側副靱帯損傷(親指の付け根のひとさし指側)は、適切な治療を受けないと以後のスポーツ活動に支障を来すことが多く注意が必要です。スキーのストックでの外傷で痛めることも多くスキーヤーズ・サム(サム=親指)といわれることもあります。親指と人差し指で強く丸が作れない時はここのケガが疑われます。(No20手関節周囲のスポーツ障害へ)


4.指の骨折 中指、示指、小指に多く変形したまま骨がついてしまい、機能障害が残ることもあり、早期に整復し固定することが大切です。 


5.応急処置について 手指を痛めてしまった場合できるだけ早く専門医にかかることが重要ですが、応急処置として簡単なテーピングについて紹介します。

 1)突き指 (マレットフィンガー)
@
 
@となりの指と合わせて指を軽く曲げて白テープ(1/2インチ)で巻いていく。      
 
A
A図のように二本の指を腹側から手背に回して、手首を一周させる。
      
B  
B同様に逆方向に回す。

      2)第2関節の靱帯損傷
 
@基節部と中節部にアンカーテープ(1/2インチ  白テープ)を巻く

  
 A損傷側に関節部に交差するようにX字  にテープを貼る。(伸縮テープでも可)

 
Bその上に縦テープを貼る。  (省略してもよい)


C最後にアンカーテープを貼る。
 

3)母指MP尺側靱帯損傷(親指の第2関節の小指側)
 

   @親指の基節部(付け根)から始め、手のひらをとうし小指側に少し引っ張る。  

A小指側から手の甲にまわしてBへ
B再び小指側に少し引っ張り親指を内転 位(人差し指にくっついた状態)に固定 する。
 

リハビリの原則

 スポーツ復帰に向けた筋力トレーニングは、安静期間が終われば、素早く開始することが重要です。物理的療法および自力で行う運動療法を組み合わせることで、運動能力の向上をはかります。主治医、コーチとよく相談してプログラムを組んでください。               

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