スポーツ栄養

@炭水化物
基本は単糖
 
2個の単糖が結合すれば二糖
ショ糖(砂糖、ブドウ糖+果糖)
麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)
乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)
 
デンプン
大量のブドウ糖が長い鎖となり結合
ブドウ糖は動物細胞内ではグリコーゲンという形で蓄えられる
 
様々な種類の炭水化物は、消化によって単糖類まで分解されて体内に吸収される。
 
☆最良の高炭水化物食品は、複合炭水化物を含んだデンプン食品。
 全粒小麦パン、全粒小麦パスタ、シリアル食品、豆類、野菜類種、種実類のような高繊維食品
 
 
Aタンパク質
21種類のアミノ酸からなり、この組み合わせで生体に必要な膨大な種類のペプチドやタンパク質が作られる。
少なくとも8種類のアミノ酸は生体が自ら作ることが出来ないため、食事からとらなくてはならない(必須アミノ酸)
運動選手は多くのタンパク質をとっているため欠乏することは少ないが、小児期・思春期など成長期には比較的多くのタンパク質をとる必要がある(2g/Kg)

栄養価の低い植物性蛋白を組み合わせることで、バランスの取れたアミノ酸組成にすることが出来る
 
穀類 メチオニン トリプトファン は多いが リジンは少ない
豆類 リジン は多いがメチオニン トリプトファン は少ない
 
トーストにピーナツバター 納豆ご飯・・・・・
 
Bビタミン類
 運動選手は1日2kgの野菜をとらないといけない?
野菜ジュースはほんとうに、野菜を食べる代わりになるのだろうか
国民生活センター商品テスト部は野菜ジュース10銘柄の成分を分析した。
 複数の銘柄には「1本で1日に必要な野菜の必要量が補給できる」との趣旨の表示がされていた。しかし、実際には、大半の商品はビタミンC、食物繊維、カルシウム、鉄分などが、緑黄色野菜の必要量120グラムの成分の3割以下だった。
*糖代謝
体内に糖質として貯蔵できる血中のグルコースは、およそ50Kcal、肝臓ではグリコーゲンとして400−500Kcalしかなく、身体にとっては重要なエネルギー源でないが運動中は主要なエネルギー源である。
・中枢神経はグルコースしか利用できないため一定の血中濃度に保つように調節している。グリコーゲンは、食事からはいる糖質のみで貯蔵され、タンパク質や脂肪からは合成できない。
 

*タンパク質代謝
回腸で、アミノ酸・ペプチドが吸収される。小腸の粘膜細胞は、体の要求に応え入ってきたアミノ酸を別の形に作り替えている。必須アミノ酸は排出せず再利用のため回収している。
・過剰なアミノ酸は、エネルギー源として利用されうるが脱アミノ後の窒素部分は、毒性があるため尿素となって腎から排出されるが、水分バランスの混乱の原因となりうる。
 
*脂肪代謝
炭素鎖長が10より少ない短鎖脂肪酸は直接吸収され血中から肝臓に行きエネルギー源かトリグルセリドに変換し貯蔵される。
長鎖脂肪酸は小腸でトリグルセリドに合成されカイロミクロンと呼ばれる脂肪滴になり肝臓を通ることなくリンパ系から循環系に入る。
ATPは、エネルギーの通貨
ATP→ADP+エネルギー ただしATPは

貯蔵に向かない。
ATPに再び合成するために細胞内の糖質、脂肪、タンパク質の参加によってできたエネルギーが必要
筋細胞には一時的なエネルギー供給源を持っており、急激なアンバランスを緩和することができる。
ただしCP系のみではATPは、30−60秒しか供給できない。またCPは、ATPによってのみ再補充される。
どのエネルギーも酸素の存在下に燃焼されATPが合成されるが、ミトコンドリア内で行われる。この代謝過程をクレブス回路と呼んでいる。
 
a.無酸素系代謝
運動開始時や短距離のような一時に多くのエネルギーが必要な時は、筋グリコーゲンはピルビン酸から乳酸に不完全に分解され、これはミトコンドリアの外で進行し、酸素を必要としない。グリコーゲン1個からATP2単位と効率は悪いが非常に早くエネルギーを産生できる。この過程では筋内に乳酸がたまり筋細胞は酸性化し、限界がある。
b.有酸素系代謝
ミトコンドリア内ではグルコースが完全に分解されれば38単位のATPが生成される。無酸素系ではエネルギー産生は非常に早いがグリコーゲンか短時間に枯渇してしまう。グリコーゲンが酸化されるか乳酸に変換されるかが貯蔵グリコーゲンからできるエネルギーの総量を決定する。
・乳酸はエネルギー要求量に見合ったエネルギー供給が、有酸素系代謝過程によって成されていれば同じ細胞内でピルビン酸に再び変換される。
・乳酸は筋細胞から遊離され、別の筋細胞でピルビン酸に変換される。
・一方筋細胞から遊離した乳酸は肝臓でグルコースに再変換される。
*乳酸はいつも生成されており、生成量が除去量を超過すれば蓄積する。
 
心臓や肝臓の様な組織は脂肪の酸化によるエネルギーの再合成に適している。脳や赤血球は解糖系に依存、筋肉はタイプTは、タイプUbより多くの脂肪を酸化することができる。
1.安静時
ATPの利用は脂肪の酸化によって十分ATPは再合成される。
2.運動開始時
短距離のような運動では数秒で安静時の1000倍以上のATPの消費となる。ATPの再合成は筋に貯蔵しているCPによるが10−15秒ほどの最大運動しか有効でない。
3.運動継続中
グリコーゲンの大量増員がが起こり酸化経路で働くピルビン酸が急速に増加する。ミトコンドリア内の酸化経路にピルビン酸が入っていく速度を上回り、代謝経路を停滞させる(血中グルコ−スの節約)。エネルギーの供給は、乳酸系によって維持される。
 運動負荷に伴って肺喚起量や心拍数が増加し、筋に多くの酸素が調達されミトコンドリアへ入り込むピルビン酸を増加させる。CP系、乳酸系からピルビン酸の酸化系に移行し、グリコーゲンの分解速度を低下させる。
 活動筋がグルコースを取り込む早さは、肝臓から放出する速度を絶対超えてはならない。ATP再合成の多くは運動が続くと脂肪の酸化系に移行する。
4.定常状態時
5−15分経過するとATPの要求増大に体が適応した状態になる。エネルギー要求が一定レベルを維持されている持久的な運動においてはATPの再合成の必要量は、糖質(筋・肝グリコーゲン)と脂肪(筋注の脂肪酸・筋中に調達された遊離脂肪酸)必要量を超えた分は、運動開始時に枯渇したCPの再生にも利用される。
5.定常状態を超えた状態
ランナーが坂道にさしかかった時などは乳酸系とCP利用の増加でATPの低下を抑える
 
運動中にどのエネルギーが利用されるか
どのくらいの時間運動が続けられるか
*どのくらいの強度で運動するかに明らかに相関する
A,グリコーゲンの減少
持久運動の初期(ランナーが一定のペースに落ち着く頃)総エネルギー再合成の50〜60%ほどが筋中のグリコーゲンから供給され残りは主に遊離脂肪酸から供給され、ブドウ糖からはわずか。
その後、運動が進み貯蔵グリコーゲンがが減少すると、グリコーゲンの利用は減り、脂肪の利用が主となる糖質としては、グルコースが利用されるようになる。
B,糖新生
上記のように筋中に貯蔵されているエネルギーより筋外にあるエネルギーの利用が多くなる。肝グリコーゲンの貯蔵量では大きなエネルギーを供給できないが、肝臓では運動中に別の基質からグルコースを作る能力がかなりある。グルコースをを合成するために脂肪酸の動員と解糖作用の最終産物=乳酸が、肝臓に取り込まれ糖新生という課程が起こる。
グリセロール(トリグリセリドが分解)乳酸、ピルビン酸、アラニン(活動筋から解糖課程で放出)など糖新生に利用される基質はグルコースに変換されて血中に放出されエネルギー源となる。
C,
さらに、筋中に貯蔵されている糖質の量が限界に達すると筋でのアミノ酸特に分岐鎖アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、バリン(アミノバリュー)の取り込み、利用が増加する。
 
トレーニング状態
持久的なトレーニングの結果として同じ運動を行った時のグリコーゲンの消費割合を低下させる。
・細胞中のミトコンドリア増加とそれによる酸化酵素の増加
・毛細血管の増加による各筋細胞への血液供給の増加
・肝臓および筋肉の糖新生能力の増大
・筋活動に血液分配する心拍出量の増加
 
運動前の食事
運動前の数日間にどれだけ炭水化物を摂取するかによって肝臓及び筋中のグリコーゲン貯蔵量が決まる。
 
50年以上前の研究で70%VO2maxで自転車を漕がした時運動を置こう2−3日前から高炭水化物食を摂取させたところ2倍長く運動ができたという報告。
 
長時間持久性運動
@初めの8〜16キロあたりでは総エネルギー再合成量の10〜50%が筋中グリコーゲン、残りはグルコースとブドウ糖と脂肪酸
A貯蔵グリコーゲンが枯渇してくると脂肪酸とグルコースの酸化エネルギー供給が相対的に増加し、レース中盤ではこれらによって維持
B後半にはグリコーゲン代謝によるエネルギー供給が減少し、脂肪とグルコースの酸化エネルギー供給が増加するのにもかかわらずエネルギー利用速度に再合成速度が追いつかなくなる。ランナーはこのエネルギーの利用と生成のバランスをペースの維持することが困難になってくることにより認識する。
 このエネルギー負債を補正するただひとつの方法は、エネルギー利用速度を減少させることであり、スピードを下げることで達成され、運動は継続できる。ランナーがエネルギー負債を無視したりすると劇的な疲労の現象が現れる。
エネルギー生成能力に合わせてペースを落としていったらランナーはまだ走れる。疲労の徴候に対する対応の失敗=“エネルギー負債を背負ってのランニング“を試みる結果
“壁に突き当たる(hit the wall)”ことになるが、他のランナーは、壁そのものを否定している理由となる。
*70〜80%VO2maxの運動では酸化能力の高いSO繊維において最も高いが運動が進むとグリコーゲン貯蔵のあるSO繊維は減少して解糖能力の高いFOG繊維やFGから動員される繊維数が多くなり、やがてこれらも疲労してゆく。そのため持久力性運動中は、同じペースを維持するためには、スタートの数キロよりラストの数キロで大きな労力が必要になる。そのためペース配分は、きわめて重要で、理想的には完走した瞬間グリコーゲンを使い切るのが理想。
最大運動
持久運動中にSO繊維が疲労するのと同様に、最大運動中には解糖能力の高いFG繊維がグリコーゲンの枯渇が早く、乳酸の蓄積も多く疲労困ぱい時には酸性度が高くなる。SO繊維は活動できるように残されているが筋肉全体としては、運動を継続できない。短距離やパワー競技の様な運動の疲労はエネルギー不足でなく体の自己破壊を守ろうとする応答である。
最大運動時は、乳酸生成系とCP系によってエネルギーが供給される。CPの早急な枯渇と乳酸と水素イオンの蓄積を招き、水素イオンの蓄積はグリコーゲンの枯渇よりいっそう早いく、体には致命的となる。水素イオンの蓄積は、ATP合成の低下と、アクチンとミオシンの連結橋を形成する能力に制限を与える。(たとえば400mの後半で足が痙攣し動かなくなる)
 実際の競技においては持久的運動と瞬間的な運動の組み合わせであり、エネルギー基質の減少や、乳酸蓄積の結果疲労が生じる。
 
炭水化物を多めに摂取することが推奨される理由
・枯渇した炭水化物を再充填するために48時間以上かかる可能性がある。
・高炭水化物はグリコーゲンの再充填を助ける
・トレーニング終了後出来るだけ速くグリコーゲンの再充填を行う。筋がグリコーゲンの再充填を行う能力は、トレーニングの後約1時間が最大である。
・砂糖を含んだものでなくでんぷん質中心のものにする。菓子類・脂肪を多く含むものは避ける。
 
 
水分と運動
・筋が収縮するのに利用可能なエネルギーは、25%くらいで残りは熱として放出
・運動中などは、周りの気温が低くないと熱産生の増加についていかなくなる
・1リットルの汗が蒸発すれば600kcalのエネルギーが放出され暑熱環境で行われる長時間運動では1時間あたり2リットルの汗を流すことが可能。しかし蒸発しないで落下するものは助けとなっていない。
 
水分摂取法
水分吸収は主に腸で行われ、胃ではほとんど起こらない。腸での水分吸収は迅速で中等度の運動くらいでは影響を受けない。
*水分補給を制限している主な要因はどれくらい飲めるかということでなくいかに早く胃を通り過ぎるか(胃内容排出速度)が重要
@摂取量:600mlまでなら大量の方が速く通過するが、選手はお腹一杯で運動すると気分が悪くなると感じており、少量を頻繁に飲むことが好まれている。濃度が濃いと(体液より高張液)吸収が悪い。
A温かいものより冷たい方が吸収がよい(8〜13度)冷たすぎて胃痙攣が起きると言うことはない。むしろ濃度が濃くて起きる可能性がある。
B運動の継続時間と吸収速度は関係ないが75%VO2maxを超えると急激に低下する。
いつ水分をとるか
試合中だけでなくトレーニング中も水分を摂取することで体を水分摂取に慣らしておく
運動の20〜40分前に250〜500ml位とっておく運動中は少しずつ頻繁にとる。
喉が渇いてしまったときはすでに脱水となっているため、渇いていなくてもとるべき
 
炭水化物ローディング
筋グリコーゲンを枯渇させ炭水化物摂取を制限した条件で運動を行わせると疲労困ぱいに到るまでの時間は、約半分になった。一方グリコーゲンを枯渇させた後数日間高炭水化物食をとらせると運動時間は50%延長した。その改善率は、個々で一定でなく1〜118%であった。
 
糖質を制限する期間?
激しいトレーニングと低炭水化物食を組み合わせると体調を崩しやすい
 
炭水化物を制限する期間を設けなくてもトレーニング量を徐々に減らしながら炭水化物の摂取量を増やすだけでグリコーゲンの過補償がかなり生じる
 
 
 
 
・激しいトレーニングは試合当日の少 なくとも7日前をもって最後とする
・それから1週間は徐々にトレーニン グ量を減らし最後の2日間は休息
・絶食や高脂肪食はラットでは持久力 向上効果があるが、人では不明
・当日の少なくとも5日前から炭水化 物の量を増やす。
 
B郡はA郡より明らかに運動範囲が狭 かった。

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